「資金繰り改善」の支援事例

【相談:資金繰りを改善したい】

 

相談事業者基本情報

●企 業 名 A
●業   種   建設業
●所 在 地   本島中部
●資 本 金     非公表
●創   業     非公表
●従 業 員   非公表

【相談内容】工事受注は好調だが、手元に利益が残りにくい。受注後、仕入から売上計上まで半年程度の期間を要することも業界的に珍しくなく、手形取引も日常的。そのため資金繰りに苦心している。資金繰りの改善方法を相談したい。

【内容:資金繰り表を活用。資金ショートを予防するため長期借り入れも選択肢に】

A社は、長年に渡り県内で店舗や住宅の建設工事を請負ってきた。好調な建設需要に後押しされ、受注は年間を通じて好調である。

 しかし、足元の資金繰りに苦労する月がある。業界慣習上手形取引も多く、売上の請求は竣工後となるので入金まで半年を要することも珍しくない。特に規模が大きい工事の期間は手元資金が手薄となり、金融機関から短期借入で凌ぐこともある。資材価格や人件費の高騰で、見積以上に費用がかかり利益率も低下する。

 資金繰り表は作成していないとの事だが、近い将来起こりうる資金不足の可能性を把握できれば、借入や支払期限の延伸など対応の選択肢は広がる。受注の都度、想定される入出金を資金繰り表に入力していけば、常に近い将来の現金残高を予想することができる。入金予想は希望的観測ではなく確度の高いものを計上するようにし、出金予想は想定外の出金にも一定程度対応できるような想定をしておくと慌てずに済む。加えて、業界慣習も考慮して、契約書と手形割合の内訳が異なったり、手形期日の変更や売掛相殺があり得ることも頭に入れておきたい。資金繰り表で資金ショートの可能性をチェックすることが重要。現金残高がいくらを割り込んだら注意という水準を設定しておきたい。危険水域を早く察知できれば、対応の選択肢は広がる。

 年間でみると利益を一定程度確保しているので、資金繰りの負担を軽減するために長期借入も選択肢として検討したほうがよい旨も説明した。返済は発生するが、日々の資金繰りに余裕が生まれる。また、受注好調な今のうちに借入の審査を受けて借入れしておけば、将来、景況悪化により借入環境が悪化しうる場合に比べ好条件での借入が可能なはずだ。

 A社は新規出店の店舗の建設案件も多く手がけている。資金繰りを安定させ、店舗出店の側面からこれからも沖縄の経済を支えていただきたい。

(沖縄県よろず支援コーディネーター・堀家盛司)

 

※掲載内容は相談者の承諾を得て紹介しています。経営者のあらゆる相談を無料で受け付けます。問い合わせや相談は同支援拠点、電話098(851)8460。

 

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