CASE270事業承継後の資金調達に苦慮

【相談:事業承継後の資金調達に苦慮】

 

相談事業者基本情報

●企 業 名 C
●業   種 製造業
●所 在 地  本島南部
●資 本 金 非公表
●創   業 非公表
●従 業 員 12人

【相談内容】父が経営していた事業を7年前に承継したが、多くの負債も同時に引き継いだため、当初から厳しい経営状態にあった。当時の消費税や社会保険料の滞納が未だあるため資金調達ができずに困っている。

【内容:国の支援施策を活かす】

 

相談者によれば、承継後の数年間は苦戦したものの、地道な営業活動と経費を削って、直近の2期はわずかながらも黒字を計上した。取引先との信頼関係ができて引き合いも増えている一方で、経営不振の時の消費税や社会保険料の滞納が残っているため、取引金融機関からの信用回復には至っていない。今後の事業展開には明るい見通しがあるものの、前向きな資金調達が図れず、今回の相談に来られた。

ヒアリングをもとに業務フロー図を作成しながら決算資料に目を通した。作業工程の一部を内製化できれば、外注コストの削減、品質の向上、納期短縮が図られ、収益力と競争力が飛躍的に高まることが読み取れた。但し、新たな機械導入と、作業所の移転(機械スペース確保)、作業員の増員が必要となる。それと資金繰りの根本的改善のためにも消費税等の負債整理は避けられない。これらを合算すると、2千万円程度のニューマネーが必要であった。

相談者には、機械導入を前提に経営改善計画書を作成することを提案した。今後の行動計画と改善効果を具体的な数字で示す必要がある。経営改善に精通した外部専門家(認定支援機関)にも加わってもらって計画を策定する場合、策定費用の3分の2の補助が受けられる経営改善支援センターを活用することもアドバイスした。

さらに、①設備導入に際する税制面での優遇措置、②政府系金融機関の低利融資、③信用保証協会の別枠保証を活用する目的から、中小企業等経営強化法に基づく「経営力向上計画」の認定を国から受けることを提案し、その手続きについてサポートした。

約4ヵ月後にはこれらの作業が完了し、政府系金融機関と取引金融機関による協調での新規融資を無事受けることができ、税金対策でも一定の目途がついた。

1年後のフォローアップでは、直近3カ月間の平均売上高が対前年比1.8倍へ増大していることが確認でき一安心。キャッシュフローも増大しており、これなら金融機関への返済も問題ない。営業戦略面で未だ課題は残るが、顧問税理士とも連携を取りながらサポートを継続している。

(県よろず支援拠点コーディネーター・大城剛)

 ※掲載内容は相談者の承諾を得て紹介しています。経営者のあらゆる相談を無料で受け付けます。ご相談は、電話098(851)8460のよろず支援拠点、またはお近くの商工会へお問い合わせください。

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