CASE271 経営が危機的状態に

【相談:事業承継後の資金調達に苦慮】

 

相談事業者基本情報

●企 業 名  S社
●業   種  土木業
●所 在 地  宮古島市
●資 本 金  非公開
●創   業  非公開
●従 業 員  13人

【相談内容】貯金を崩して運転資金の返済にあててきたが、そろそろ限界で倒産を意識している。夫からは会社を存続していく意思を確認できず精神的にも追い詰められており、資金繰りを改善していくべきか悩んでいる。

【内容:資金の流れ 表で可視化】

 

S社は長年に渡り大手企業の下請け工事を請負っており、人工は一方的で交渉ができず利益もほとんど残らない状態。特に規模が大きい工事の期間は手元資金が手薄となり、金融機関から短期借入で凌ぐこともあったが、今回は金融機関の対応にスピード感がなく会社の存続が危ぶまれていた。

経営者は二代目で50代前半ということから、他社で勤めて負債を完済することも視野に入れなから相談者の生き方にも触れる内容となった。S社は勤続年数が20年を超える従業員が複数おり、働きがいを感じられる社風も確立されている、経営者自らも現在の職業に生きがいを感じていることから経営改善の道を選択した。

S社の場合、資金の流れをコントロールできていないことが原因なので、資産を売却する方法と金融機関などから融資を受け資金を調達する二つの方法を提案した。金融機関からは資金繰り表を求められていなかったが、直近の請負契約書をもとに受注業務を一覧化した。資金繰り表を年間でみると資材価格などの高騰で、利益を確保できていないことが可視化できた。このことで何を改善していくべきか判断ができるようになり、金融機関に毎月の返済を半年間猶予してもらう交渉で資金繰りが一時的に改善した。また、元請けに依存しない経営体質を目指すために経営指針書を作成し定期的にPDCAを回していく。

半年ぶりに近況報告で、よろず当相談に尋ねて来られたご夫婦から「人員の大幅な流出もあったが、現在は資金繰りも安定し精神的にも落ち着いた経営ができている」と笑顔が絶えない相談となった。経営改善はまだ道半ばではあるが、危機的な経営状況から脱し、経営改善の実現に向けて一歩を踏み出したS社にこれからも寄り添っていく。

(県よろず支援拠点コーディネーター・砂川淳一)

※掲載内容は相談者の承諾を得て紹介しています。経営者のあらゆる相談を無料で受け付けます。ご相談は、電話098(851)8460のよろず支援拠点、またはお近くの商工会へお問い合わせください。

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