CASE284 資金繰り悪化 生き残るための策

【相談:コロナ禍中の資金繰り・税金】

 

相談事業者基本情報

●企 業 名 居酒屋P社
●業   種 飲食業
●所 在 地  浦添市
●資 本 金 100万
●創   業 2019年
●従 業 員 10人

【相談内容】

新型コロナウイルス感染症の影響及び休業要請期間中の休業により売り上げが急減し資金繰りが悪化、今後再オープンしたとしても見通しが立たない。生き残るためにどう対策していけば良いか。

【内容:助成活用 手元資金守る】

 

新型コロナウイルス感染症の影響は広範囲に及び、業界毎の事情は異なるが、生き残り策が問われている。それは、①今を生き延びるための資金繰りを含めた対策、②新型コロナウイルス感染症を蔓延させないための防疫、③感染症が一定期間続くことを前提にしたビジネスモデルの変革である。これらを全て行なっていかなければならない。今回は特に厳しいと言われる飲食業界の事例を紹介したい。

クラウド型モバイルPOSレジを提供しているホスタス社の報告によると、飲食店の昨年度対比で2月は客数において95.0%、売上対比においては97.9%とほぼ影響はなかった。3月では客数で68.9%、売上では67.7%と3割以上減少している。更に4月では客数で40.3%、売上では36.5%と6割以上の減少となっている。中でも、客単価が千円未満が昨対比で55.3%なのに対し、3千円台では32.6%と減少幅が大きい。北海道や四国、中国は約5割と比較的落ち込みは少ないが、沖縄・九州・関東・東北では6割を超える減少である。

観光客を主客とする沖縄の飲食店は9割減の店舗も少なくない。今回の相談者も4月の売り上げは89%減であった。①の資金繰りでは、新型コロナウイルス特別貸付を活用し運転資金を確保しつつ、国の持続化補助金とうちなーんちゅ応援プロジェクトの感染症防止対策緊急支援事業(飲食店)を申請した。休業要請により休業したため雇用調整助成金も社会保険労務士を介して申請している。手元資金の減少に備えるためである。また②防疫対策では、全てのテーブルにアルコール消毒液を完備、空気清浄機の導入や店内清掃・消毒を徹底した。③のビジネスモデルの変革においては、テークアウトの実施と免疫力向上メニューの開発である。県内には免疫力向上に有益とされる素材に事欠かない。

これらの活動の結果、緊急事態宣言解除の影響も大きいが、5月後半における売り上げは前年度並みにはまだ及ばないものの休業直前の倍近くは回復してきている。新型コロナウイルス感染症自体は収束するかもしれないが、社会のマインドは変化したままかもしれない。終わりなき感染症と向き合いながら、次の社会をどのような形で作り上げていくか。まさに新たなビジネスモデルの創出が望まれている。

(県よろず支援拠点コーディネーター・鈴木 和久)

 ※掲載内容は相談者の承諾を得て紹介しています。経営者のあらゆる相談を無料で受け付けます。ご相談は、電話098(851)8460のよろず支援拠点、またはお近くの商工会へお問い合わせください。

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