CASE285 低収益・高額家賃で経営難に

【相談:低収益・高額家賃で経営難に】

 

相談事業者基本情報

●企 業 名 非公表
●業   種 飲食店
●所 在 地  沖縄県内
●資 本 金 個人事業
●創   業 非公表
●従 業 員 非公表

【相談内容】

売上は何とか確保できているが、利益率が低く低収益。固定費の家賃負担が大きく経営が悪化し、2019年1月に借入調達した資金も残りは260万まで目減りした。このままでは資金ショートすると考え相談に来た。家賃交渉などに同席して頂けないか?

【内容:家族一致で改善策協議】

 

相談者は、2代続くレストランとテイクアウト専門の2店舗を経営しており、地域に愛される店である。両親が始めた事業を兄弟で承継し経営をしている。

 厳しい表情を浮かべながら「滞納家賃交渉などに同席を・・」との話から相談が始まった。売上、店舗数、店舗粗利、借入状況など基本的な情報からヒヤリングを開始した。両店舗の売上は悪くなく、9カ月ほど前に金融機関から追加融資を受けているが事、借入資金残が260万に目減りしている事などを確認した。経営が厳しい要因は「色々あるが、家賃が高い事が要因の一つ」との説明があり、交渉への同席を希望してきた。よろず支援拠点としては「公平な立場でしか動けない」点を説明し、同席が出来ない事を伝えた。そのうえで、折衝方法などのアドバスや1店舗閉鎖など抜本的な改革が必要である事を伝え、家族で協議して頂くように依頼した。

 その相談から1カ月後、経営悪化が止まらないというので店舗に訪問相談する事になった。相談者と家族の経営情報の共有化と共通認識が高まらないと事態が改善されないとの判断からだ。このままでは店と経営者、家族の生活がどうなるのかを具体的に他社事例を交え説明した。生業として家族経営している以上、店舗経営に直接関わっていない家族や親族へも影響が出る。また連帯保証がどのような事になるのかを実感が持てるように説明した。

相談を続ける中で、事態が少しずつ改善に向け進み始めた。具体的な改善ポイントとして、店舗粗利を数字でハッキリさせ、これをベースに①事業継続を含めた滞納家賃交渉、②レストラン閉鎖の是非についての家族会議、③銀行交渉の3つに取り掛かる事となった。

まず家族会議での②のレストランの閉鎖に関して結論が出た。レストランは先代の両親の意向もあり続けていたのだが、両親から「閉鎖もやむなし」との意向を確認できた。それを踏まえて①の滞納家賃交渉に入る。交渉先との関係が拗れていた事から弁護士を通した交渉に切り替える事にした。弁護士には、①資金繰りに考慮した分納金額、②小型店の継続契約の2つを軸に交渉してもらった。

 訪問相談から6ヶ月後の現在、レストランは無事に閉鎖し、テイクアウトの店は継続契約出来た。滞納家賃の分納支払いも合意できて、順調に返済している。新型コロナウイルスの影響も若干出ているが、地元固定客に支えられ資金繰りは順調に回復している。金融機関も経営改善に協力的だという。新型コロナウイルスと戦う家族経営の底力、地域密着型経営の強さを感じた。

(県よろず支援拠点コーディネーター 赤嶺輝昌)

 ※掲載内容は相談者の承諾を得て紹介しています。経営者のあらゆる相談を無料で受け付けます。

ご相談は、電話098(851)8460のよろず支援拠点、またはお近くの商工会へお問い合わせください

この記事が気に入ったら
いいね ! しよう