CASE305 赤字脱出に向けた財務体質構築

【相談:赤字脱出に向けた財務体質構築】

 

相談事業者基本情報

●企 業 名 A社
●業   種 食品製造業
●所 在 地   非公表
●資 本 金 非公表
●創   業 1977年
●従 業 員 80人

【相談内容】

売上の低迷により資金繰りは悪化し、原材料費高騰の影響を受けていながら単価に反映出来ずに大変厳しい状況にあり、ここ数年は赤字決算が続いている。脱却したいが何から手を付けて良いかわからない。アドバイスが欲しい。

【内容:売価改定と固定費削減】

 

同社の財務状況を確認するため、過去3年分の決算書の確認と代表者からのヒアリングを行い、課題を整理した。売上拡大と資金繰りの安定化を並行して取り組まなければならない。

利益を上げるポイントとして、①売上数量を伸ばす、②売上単価を上げること。資金繰りでは、③仕入れ原価を下げる、④固定費用を下げる、ことが重要であることを説明した。

初めに当面の資金繰りを安定化させるため、社長へ既存借入金のリスケジュールを金融機関へ打診することを提案。メインバンクも迅速に対応していただき早期に条件変更契約を締結した。

損益及び資金繰り悪化の大きな要因は、原材料の高騰による粗利の大幅減少にある。原材料価格の値上がりは売価に転嫁することが損益改善のポイントである。このコロナ禍の中で価格改定の条件をのんでくれる取引先は少なかったが、いくつかの取引先が価格改定に応じてくれた。目標値には達してないものの粗利向上の第一歩を果たした。

固定費に目を向けると、人件費が大きなウェイトを占め、資金繰りを圧迫していた。役員報酬の大幅な削減を皮切りに、人件費の適正化を推進し大幅な人件費圧縮を達成することができた。

販売管理費では、積立型の生命保険を解約し保証を主とした生命保険契約を残した結果、掛金を年間70万円削減して営業損益の改善につながった。

今回の主なアドバイスは金融機関へのリスケジュール提案、及び経費削減によるキャッシュアウトの大幅な減少、生命保険などの解約などで手元資金を厚くし、当面の運転資金の確保ができた。現時点では売上高の回復は十分とは言えないが、資金繰りは安定してきている。とは言え、まだ改善すべき箇所は多くある。今後もさらなる改善へのサポートを相談者に寄り添い、提案していきたい。

県よろず支援拠点コーディネーター・税理士・平良豊

 ※掲載内容は相談者の承諾を得て紹介しています。経営者のあらゆる相談を無料で受け付けます。ご相談は、電話098-851-8460のよろず支援拠点、またはお近くの商工会へお問い合わせください。

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