CASE325 廃業危機の事業を存続させたい

【相談:廃業危機の事業を存続させたい

 

相談事業者基本情報

●企 業 名 Y社
●業   種 調剤薬局
●所 在 地  本島南部
●資 本 金 非公表
●創   業 非公表
●従 業 員 非公表

【相談内容】

30年以上営んできた事業を高齢で退く気持ちが強くなってきたが、地域の利用者が多く、地域とのかかわりも強いため廃業はできるだけ避けたい。事業を存続させるための方法を教えてほしい。

【内容:専門家交え選択増やす】

相談者は長年地域に根ざしたサービスを心がけ、信頼を積み重ねてきた調剤薬局を営む。営業する地域は商業地区に近く利便性が高く、近年開発が進んでいるため更なる発展が期待される地域である。地元の利用者が多く顧客の信頼も厚い。地域との関わりも強いため、どうにか事業は存続させたいと考えてきた。しかし後継者が決まっていないことが最大の課題であった。

Y社の事業は国家資格を必要とするが、後継者候補の親族の従業員はその資格をまだ保有していない。廃業すると顧客や取引先に迷惑をかけることになるので、親族承継よりもしっかりと事業を引き継いでいくことを最優先としたい。代表者である相談者は第三者承継もありと考えていたが、会社には債務があるため第三者への承継は不可能なのではないかと思っていた。

相談を受けて財務状況を見てみると、借入金はあるものの資産状況は悪くない。さらに会社が好立地にあることや地域での信頼性もあるので、M&Aによる事業承継を本格的に考えてはどうかという提案を行った。そして事業承継を前提とした情報収集を進め、財務状態の把握と事業価値(強み)の評価を進めながら、事業引継ぎ支援センター等他の支援機関への相談も提案した。

相談者は支援機関や金融機関の連携によるサポートを受けながら、納得できる解決策を模索していった。その結果、代表者がこれまで営んできた事業への想いも含めて承継したいという企業が見つかり、無事M&A契約が成立する運びとなった。

借入金や経営課題を抱えているということで、自社の価値を過小評価して廃業という選択肢を採ってしまう前に、専門機関に相談することで新たな選択肢への可能性が開けることもある。

県よろず支援拠点コーディネーター・遠山康英)

※掲載内容は相談者の承諾を得て紹介しています。経営者のあらゆる相談を無料で受け付けます。ご相談は、電話098-851-8460のよろず支援拠点、またはお近くの商工会へお問い合わせください。

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