CASE327 工事代金が回収できず経営が困難に

【相談:工事代金が回収できず経営が困難に】

 

相談事業者基本情報

●企 業 名 非公開
●業   種 内装業
●所 在 地 本島南部
●資 本 金 非公開
●創   業 2015年
●従 業 員 1人

【相談内容】

内装工事の代金が回収出来ないため資金繰りが悪化し困っている。どうにか回収する方法は無いのか?銀行への借入返済ができず信用保証協会の代位弁済中で、金融機関からの資金調達は出来ない。

【内容:法テラス使い破産処理】

最初の相談は「480万円の内装工事代金が回収できず資金が回らない」との話から始まった。状況を把握するために、問題の発端になっている工事の受注方法や経緯、契約書の有無などをヒヤリングしたところ、工事代金の回収は困難、または時間が掛かる事が判明した。

理由は、受発注書などの書類が全くない事、発注者が2つあり双方で揉めている事、工事内容に関する記録が殆どない事などが原因だ。当事者同士でしかわからない工事の受発注で、記録がない以上第三者からは判断ができない。この場合全額回収はほぼ不可能で、一部回収する事も時間が掛かる場合が多い事を説明した。

その上で弁護士を活用した工事代金回収方法という選択肢についても説明した。日本弁護士連合会が実施している「ひまわりほっとダイヤル」へ連絡し、弁護士に相談する事を提案した。

事業継続のために工事代金の回収以外の方法はないかを探るために経営状態をより詳しくヒヤリングした。問題点が次々と浮き彫りになり、経営状態は非常に悪い事がハッキリとする。まず工事粗利が低く利益が出る構造になっていない。会計管理がされていないため経営状態を客観的に判断できない。工事下請への未払いが多く取引先からの信用が低い。代位弁済中で追加融資が難しいことなど、悪い材料しか出てこない。相談者の様子からも、自力再建に向けて自ら行動し決断する事が極めて難しいと思わざるを得ない。

弁護士へ相談した結果、倒産と破産に向け動く事を決断したと言う。しかし、手続き費用が約110万円程掛かるため依頼が出来ないとのこと。日本司法支援センターが実施している「法テラス」の利用に可能性があると提案。現在の収入や資産状況についてヒヤリングを実施した結果、法テラスの利用条件をある程度満たしている可能性が高いことがわかったので、相談をしている弁護士に制度利用を確認するか、直接「法テラス」へ電話相談するようアドバイスした。

相談から1年半後に、法人と個人両方とも破産処理が行われたとの報告を受けた。相談者からは、「法テラスへの相談の結果、時間は掛かったが清算に向けて目途が立ったのでホッとした。一人で悩んでいる時の様々なアドバイスが心強かった」との言葉を頂いた。

県よろず支援拠点コーディネーター・赤嶺輝昌)

※掲載内容は相談者の承諾を得て紹介しています。経営者のあらゆる相談を無料で受け付けます。ご相談は、電話098-851-8460のよろず支援拠点、またはお近くの商工会へお問い合わせください。

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