台湾企業との取引 支援事例

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【相談:海外市場を開拓したい。注意点は】

東京で開催された商談会で台湾の企業から取引の申し出があった。決済方法や言葉の問題があり、直接取引を開始するのは不安があるが、海外市場は開拓していきたい。どのように進めればよいか。

相談事業者基本情報

企 業 名      忠孝酒造
業    種  泡盛および清涼飲料水製造販売
所 在 地      豊見城市
資 本 金     4100万円
創    業     1949年
従 業 員       48人

【回答:決済条件を留意】

同社は伝統を守りながらも常に新たな挑戦を続けており、特色ある商品を幅広く開発している。
伝統的な泡盛の製造方法である「シー汁浸漬法」の復活に取り組む一方、マンゴー酵母を使った泡盛も開発。
独自の酒甕は業界でも有名で、専門の職人が自社工房で甕を製造する、県内唯一の酒造所である。
同社は、ことし東京で参加した商談会で、台湾の企業から直接取引の申し出を受けた。
伝統へのこだわりと先進的な技術が評価されたのだ。
しかし、独自で商談を進めるには不安があったという。

言葉と決済 克服が肝要

同社は商社を介して海外出荷の経験があり、海外担当の人材も確保している。
よろず支援拠点では、言葉と決済の課題さえ解決できれば台湾企業との直接取引を実現し、出荷拡大も期待できると判断。
段階的な支援を行った。
外国企業と取引を行う際、最も留意する点は決済条件である。
信用度の見極めが大変困難で、よほどの信頼関係が構築できない限りは、代金回収後の出荷がベターである。
直接の決済を避けて日本の商社を帳合いに入れる方法もあるが、今回は輸入者の台湾側から紹介された、台湾人がオーナーの国内輸入商社を帳合いにした。
決済方法も前金回収の条件で合意、言語と決済の課題をクリアした。
併せて取引先の企業調査も実施し、決済以外にもリスクが潜んでいないか確認した。
商品見積り、規格書などの提出を得て取引が決定。
帳合い先の商社は輸出業務は不慣れで、原産地証明書の発行、現地法規に対応した裏面表示シールの作成方法など、輸出に関する手続きをレクチャーし、無事出荷を実現させた。
その後、7月には帳合い先の商社、台湾の輸入業者と販売店がそろって来沖、工場見学などで交流を深めた。
11月には酒類の展示商談会「台北ワイン&スピリッツフェスティバル」に地元業者と共同出展し、泡盛80本を完売。協力体制を強固にした。
ビジネスは人のつながりでもある。
文化、風習の違いを超えて、互いに信頼関係を築けば取引は成長・深化していくだろう。

*この記事は2014年12月14日の沖縄タイムス日曜版)『よろず支援拠点 カルテ@沖縄』に掲載された記事からの転載です。

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