新米社長 社内改革の支援事例

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【相談:先代社長がつくり上げた実績と信頼を維持したい】

半年前、先代の社長が病気で倒れ、社内で唯一の身内であることから継がざるを得なくなった。
取引先、年上の社員、同業者など、どう向き合ったらよいか。会社の今後の方針はどうするべきか、相談したい。

相談事業者基本情報

企 業 名      B社
業    種    機械製品販売業
所 在 地     本島中部地区
資 本 金      200万円
創    業     20年以上
従 業 員       10人

【回答:社員と目標を共有し、取り組む姿勢はベテラン経営者】

業界としての市場は縮小傾向にある中で、同社は仙台の社長が取引先との信頼関係を地道につくり上げ、黒字経営を維持してきた。
主力の機械販売は減少しているが、修理や整備を担うメンテナンス部門、グリスやオイルなどの周辺製品の販売、性能を評価する証明書の発行など、経営の多角化によって新たな売り上げをつくってきた。おかげで、今は資金繰りには困っていない。
新社長は先代のつくり上げてきた会社を何とか維持させるために、必死に見よう見まねで経営している。
社長としてまだまだ認知されていないので、取引先を回っても若輩の自分が小さく感じられる。
また、先輩社員たちに迷惑を掛けていないか、あるいはやり過ぎになっていないか。心配で仕方がないという。
日々不安を抱えながらも、社員とのコミュニケーションを図るために、業務日報を書かせるようにした。
会社の目標を浸透させるために、これまではなかった定期ミーティングを持つようにもした。
勉強して就業規則も新たに作成した。
やる気と能力のある社員は幹部社員として登用した。
また、社員に売り上げ目標を立てさせ、数字を意識した営業会議も行うようにした。
その結果売り上げが上がったので、決算賞与として社員に還元したという。

目標共有し半年で成果

社長の話を聞き終わり、伝えたのは
「あなたの取り組みは何一つ間違っていません。自信を持って今の方針で進めてください」ということ。
新社長が半年で行った社内改革は目を見張るものがある。ベテラン経営者でも実行できないことが多い。
社員に数値を目標を意識させて、利益が出たら還元する仕組みでモチベーションを高めた。荒波のような厳しい市場環境の中、社員と一体になろうとする姿は、船長と船員が気持ちを一つにして大海原を突き進む一隻の船のようである。
そう伝えたら、社長は感極まって涙を流した。
経営者は孤独な存在だ。不安や悩みを誰にも相談できないことのほうが多い。社員にも、家族にも、銀行にも、である。
心中の不安を吐露する場の提供もまたよろず支援拠点の役割の一つかもしれない。

※この記事は2014年12月28日の沖縄タイムス(日曜版)『よろず支援拠点カルテ@沖縄』からの転載です。

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