事業の引き継ぎ先を探したい

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【相談:製造元が経営危機 支援してほしい】

S社は沖縄の地域資源を原料とする健康食品を仕入れ、県外で販売している。この県産素材は機能性と汎用性が高く、優位な市場性を持つ。今後の発展が見込めるが、製造元のB者が経営危機にあり支援してほしい。

企業名      S社
業種    機能性素材の製造販売
所在地      那覇市
資本金     1億円以下
創業      1990年以前
従業員      20人以下

両者納得の方法を紹介

【回答:専門機関の県事業引き継ぎセンターの支援を】

S社はB社が研究開発し、製造する県産の機能性食品、機能性健康器具、土壌改良剤などを仕入れて販売してきた。S社は原料となる県産素材の機能性と汎用性の高さに注目し、県はいや海外に対する情報発信にも努めてきた。そのかいあって、他県や欧州からの問い合わせも増えてきた。新商品のアイディアも出てきて、今後事業としての発展の可能性が見えてきた。

ところが、製造するB社の経営環境が厳しくなってきた。県外資本の同業他社との競合、製品販売の伸び悩みとそれに伴う資金繰りの悪化、加えて経営者の健康状態も悪化。取引先の金融機関が進めるままに、海外資本による合併・買収(M&A)の話が進んでいた。

S社は、B社の新たな経営体制の具体的なプランを作成し「沖縄の財産であるこの素材の素晴らしさを商品化し、販路を拡大したい。B社には引き続き研究開発を進めてほしい。地元の関係各社がともに発展していきたい」と強い思いを示していた。その熱意を受けて、B社の経営者に同席してもらい、S社への事業引き継ぎに基本的に依存がないことを確認。
むしろ、取引先での製品の最大の理解者であるS社が引き継いでくれることが一番望ましい、ということであった。

債務の状況確認や金融機関の同意など、事業引き継ぎは課題が多く簡単に済まない。よろず支援拠点だけでは対応できるものではないので、専門の相談機関である県事業引き継ぎセンターを紹介して、両者で相談に行ってもらった。

さっそく同センターが同行して取引先金融機関と面談、金融機関もS社をM&Aの最有力候補として検討することを表明。
海外資本とのM&Aの話は一時棚上げにすることになった。今後も課題の整理や手続きなどで同センターの支援を受けながら、作業を進めていくことになる。

よろず支援拠点としては事業引き継ぎ以外の製造技術や商品開発、販路開拓などの課題についても引き続き支援したい。
B社の技術と県産素材を使った商品が、S社の情熱で広く県外。海外に展開されることを期待したい。

※この記事は2015年3月1日の沖縄タイムス(日曜版)『よろず支援拠点カルテ@沖縄』からの転載です。

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