CASE281 副業・兼業者を雇う際の注意点 

【相談:副業・兼業者を雇う際の注意点について】

 

相談事業者基本情報

●企 業 名 J社
●業   種 語学学校
●所 在 地  那覇市
●資 本 金 非公表
●創   業 2020年4月
●従 業 員 非公表

【相談内容】

別の語学学校で働いている教師を雇用する予定。

副業・兼業となる労働者を雇用する場合、労働保険や社会保険、必要な手続や注意点を教えてほしい。

【内容:労働条件を確認し必要な手続を行う】

 

相談者は語学学校を開設するにあたり、よろず支援拠点に来られた。知り合いの語学教師を雇用する予定だが、その語学教師は別の語学学校で働いており、空いている時間で相談者の語学学校で働いてもらいたいと考えている。副業・兼業となる方を雇用する際に労働保険や社会保険の手続、注意点を教えてほしいという相談である。

 厚生労働省が「副業・兼業の促進に関するガイドライン」を示している。そのガイドラインを踏まえ、相談者に次のとおりアドバイスした。

・就業時間の把握:労基法では「労働時間は、事業場を異にする場合においても 労働時間に関する規定の適用については通算する。」とされている。副業・兼業の場合、労働時間を通算して時間外労働に至った場合、後から労働契約を締結した事業主に時間外割増賃金の支払い義務がある。別の語学学校と相談者の語学学校での労働時間を通算し、法定労働時間を超えた場合には相談者が時間外割増賃金を支払うことになる。

労働保険:労災が発生した就業先の賃金分のみに基づき補償給付が算定される。雇用保険について、同時に複数の事業主に雇用されている者が、それぞれの雇用関係において被保険者要件を満たす場合、主たる賃金を受ける雇用関係についてのみ被保険者となる。

社会保険(厚生年金保険及び健康保険):社会保険の適用要件は事業所毎に判断され、いずれの事業所においても適用要件を満たさない場合、労働時間等を合算して適用要件を満たしたとしても適用されない。複数の事業所で就労している労働者が、 それぞれの事業所で被保険者要件を満たす場合、いずれかの事業所の管轄年金事務所等を選択し、その年金事務所等において各事業所の報酬月額を合算して標準報酬月額を算定し保険料を決定。各事業主は、報酬額により按分した保険料を年金事務所に納付することとなる。

相談者は創業時から副業・兼業となる労働者に配慮した労働条件を整備した。職場環境を整備したことで副業・兼業する労働者でも安心して働くことが可能となり、事業所としても優秀な人材を確保することができた。

(県よろず支援拠点コーディネーター・社会保険労務士平田勇次)

 ※掲載内容は相談者の承諾を得て紹介しています。経営者のあらゆる相談を無料で受け付けます。

ご相談は、電話098(851)8460のよろず支援拠点、またはお近くの商工会へお問い合わせください。

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